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□そして君に云う。
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「言えよ」
「だから、大丈夫だってば…」
先ほどから、何度目のやり取りだろうか。
山賊に襲われていたレビィを助け、ギルドに顔を出してからすぐにガジルの家に帰ってきたのだ。
正確には帰ってきたというより、ガジルがレビィを連れてきたのだが。
半ば、問答無用で。
「俺が納得いかねェんだよ」
「だ…だってあんまり、思い出したくないんだもん…」
ガジルが何度も問い詰めているのは、山賊に触れられた場所がどこかというものだった。
レビィを少しであろうが汚されたことに、ガジルは怒り心頭のようだ。
「ほぉ。…なら勝手に消毒するぜ」
「消毒って、別にどこも怪我してな−…っひゃあ!」
ガジルはレビィをひょいと抱え上げると、ベッドの上にドサッと降ろした。
スプリングが跳ねて、レビィの体がベッドに沈む。
がっちりレビィを押さえつけながら、その小さな体をまさぐる。
「ガ、ガ、ガジル!?」
戸惑うレビィ。
なんでこんなことになってるの!?
第一、恋人同士でもないのに、こんな…
レビィはガジルに対して恋心を抱いているものの、きっとガジルは違う。
と、レビィは勝手に考える。
きっと自分の一方通行だ、と。
「ガ…ジル、やめて…!」
「あァ?」
真剣な声音に、ガジルの手も止まる。
「何の気持ちもないくせに…こんなこと、しないで…っ」
ガジルの目が驚きで見開かれる。
何の気持ちもないくせに。
そりゃあ、自分は好意を寄せている。
でも、何も想われていないまま触れられるのは悲しいだけだ。
「むなしいよ…こんな…ガジルは、気づいているんでしょう…?」
「…何言ってんだ?」
「私は…私はガジルが好き…!私の気持ち、ずっと前から気づいてるでしょう!?」
「…!」
ガジルの目は、更なる驚きで最大に見開かれた。
この、目の前の少女が、自分を好き…?
気づいてたわけがない。
自分はその手のことに疎いのだ。
そして、自分の気持ちと向き合うので精一杯だったのだ。