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□小悪魔の誘惑
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夜がもうすっかり肌寒くなってきた頃、


フェアリーテイルではいつも以上のお祭り騒ぎが起こっていた。


10月31日、ハロウィンである。



ギルド内は思い思いに仮装した者達で賑わっていた。


レビィとガジルも、その一人である。


最初は渋っていたガジルも、吸血鬼ならとなんとかマントだけを羽織るだけにとどめた。



レビィはというと、黒く小さいツノをつけ、裾がギザギザにデザインされた赤いワンピースを着て、黒く細い尻尾をつけていた。


悪魔の仮装なのだろう、レビィが着るとより愛らしく見える。


普段はほとんどお酒を飲まない二人だが、この日ばかりは雰囲気に身を任せてお酒を楽しんでいた。


「リリーの白い被り物って、オバケ?」

「みたいだな」

「あはは、かわいいね。ハッピーたちとお揃いなんだね」


このところ仕事で忙しかったガジルとゆっくり話すのは久々で、それもイベント事ということもあってお酒が進む。


「これおいしい。もうちょっと呑もうっと」

「ほどほどにしとけよ」

「大丈夫だもん!」


そう応えたレビィの表情が実にぽわっとしていたので、いまいち信用できない。


「ったく、面倒見きれねぇぞ」


お酒をとりにいったレビィの後姿を見ながら、小さく呟いた。






そして、40分後。






「るーーちゃんっ、楽しんでるぅ?」

「わっ、レビィちゃん!?」

「うわレビィ、あんた相当酔ってるね!?」


ルーシィとカナが同時に声をあげる。


「酔ってらいもんっ」

「いや、舌まわってないよ!?」

「とりあえずガジル呼んでくるよ」


レビィは足元をふらつかせ、真っ赤な顔でふにゃりと笑っていた。


「ちと飲ませすぎたな」


カナに呼ばれてやってきたガジルは、レビィを見てやれやれと息をついた。


「あーっ、ガジルらぁ!」


ガジルを視界にとらえたレビィは、さらに嬉しそうにはにかんで、勢い良く抱きついた。


「お…っ!?おい、レビィ?とりあえず離れろ」

「やーーらーーっ!ガジルと一緒にいるもぉん…」


はがそうとするといやいやと首を横に振ってさらに強く抱きついた。


「愛されてるのねー、あんた」

「熱いねぇ」

「お前らな…」


ニヤニヤしながら傍観していたルーシィとカナが茶々を入れる。


「ガジルぅ…」

「な…」


なんなんだよ、その顔!


わざとかこいつ!
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