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□鉄竜は妖精を愛でる。
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ストーカー事件が解決したその夜から、レビィはしばらく仕事を休み、ガジルの家で休養することになった。
まずは女子寮に向かい、荷物をまとめる。
何冊かの読み途中の本、着替え、化粧品、それからそれから。
準備しているうちに荷物が増えていってしまったのだが、そこは女の子だから仕方が無い。
「おまたせ、ガジル」
「おう」
女子寮のすぐ下で待ってくれていたガジルは、荷物をレビィから取り上げて肩へ担ぎ、空いている方の手でレビィの手を握った。
指先から感じるガジルの体温。
ほっと息を吐き出せる温度。
特に何かを話すわけでもなかったが、沈黙を心地良く感じるほどガジルの傍は安心する。
***
ガジルの家に着くと、玄関を入ってすぐに後ろから抱きしめられ、顔をぐい、と後ろに向けさせられて熱く口づけをされた。
「っん、」
食べられてしまいそうなキス。
間を置かず舌が唇を割って侵入してくる。
「ふぁ…っん、ふ…んん、」
頭がぼうっとするほど貪られ、急に横抱きにされてどこかへ運ばれる。
大切そうにレビィを抱いたガジルが移動した先は、お風呂だった。
働かない頭で懸命に状況を把握しようとする。
「ガジル…?」
疑問符を浮かべたままのレビィをよそに、ガジルはレビィの服に手をかけてするりと脱がせ始めた。
「え、ガジル、」
レビィの抵抗も許さず、脱がせた服を床にパサリと落とす。
ガジル自身も服を脱ぎ、レビィを抱き抱えるようにして浴室へ入った。
うまく身体に力が入らないレビィは、されるがままだ。
「あの野郎に触られただろ」
ぶっきらぼうに言い放つのは、数時間前の出来事。
あんな男がレビィに触れたことが許せない。
自分の気持ちを自覚して以来何よりも大事にしてきたレビィを、あろうことか縛り付けて、体の自由を奪って。
ガジルの目の前で触れたのだ。
浴室の壁へレビィを軽く押し付けて唇を奪う。
「っん、ん」
怖い思いをした彼女に、手を握ってやるだけなんて優しい真似はできなかった。
滅茶苦茶に抱いてあの男の跡など消してやりたい。
これはただの、自分のエゴ。
そんなこと、わかっていても。
唇を奪えば息を漏らすレビィを、舌を絡め取れば懸命に応えようとするレビィを、ただひたすら愛したいと思った。
「レビィ、…俺が怖いか」
「ううん…ガジルになら、…なに、されたって」
熱っぽく潤んだ瞳がガジルを見つめる。
ガジルになら、なにをされてもいい。
彼の体温から、レビィを大切に思ってくれていることが伝わるからだ。
襲われたときは本当に怖かったし、涙も震えも止まらなかった。
けれど、ガジルが来てくれたから。
素肌と素肌をぴったりくっつけて、ぎゅっと抱きついた。
ガジルに触れられるのは、ほらこんなにも。
心地よくて、気持ちいい。