love
□揺れる人魚
1ページ/6ページ
「皆で海に行くぞ!」
目を輝かせたエルザの一言が、ギルドに響いた。
「海〜?」
「また急ね、エルザ」
ナツとルーシィが1番に反応を示す。
「ここのところ、皆仕事続きだろう。たまには羽休めも必要かと思ってな」
そう言いつつも、1番行きたいのはエルザなのだろうとその場の誰もが思ったが、後が怖いので口には出さない。
「各自、行ける者は支度をして来るように。ギルド集合だ」
その言葉に、わらわらと人が移動しそれぞれ自分の家に一旦戻っていく。
読んでいた本を一旦閉じ、レビィはガジルに顔を向けた。
「ガジルは行くの?」
「お前は行くんだろ?」
「あ、うん。行こっかなって」
「なら俺も行く」
こんな台詞をさらっと言ってくれるようになるほど、恋人としての距離が近いのを感じてこっそり嬉しくなった。
今年は新しい水着を買ったのだが、海もプールも機会がなく行けてなかったので純粋に嬉しい。
ルーシィとウェンディと一緒に買い物に行った時に買ったものだ。
花びらがふんだんにあしらわれたバンドゥタイプのもので、店員含めルーシィとウェンディが似合う似合うと褒めてくれた。
一旦ギルドを出て、ルーシィと女子寮へ向かう。
「ナツも行くって?」
「ルーシィは行くのかって訊かれたから、行くわよって答えたらじゃあオレも行くって。」
「はは、ガジルも同じこと訊いてきた」
なんというか、気持ちのいい性格だ。
そんなことを話しながら女子寮に着き、支度を済ませて再びルーシィと合流してギルドへ向かう。
「あたしもレビィちゃんも今年は海行けてなかったし、なんだかんだ楽しみだね!」
「エルザが1番行きたかったんだろうけどね」
わかるそれ、とくすくす笑い合いながらギルドへの足取りは軽かった。
だいたいいつものメンツでギルドを出て、海へ向かう。
途中で滅竜魔導士たちは電車で乗り物酔いをしていたのだが、それもいつもの光景だ。