love
□運命の人
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この妖精王国でレビィ姫が政権を握るようになり、三ヶ月が過ぎた。
王が不在の中、王妃の応援を背に受けレビィは気丈に国政を行っている。
少し、大人びたな。
ガジルは自分の荷をまとめながら、あの青い髪を思い浮かべた。
胸の奥に押し込んでいた想いが溢れて、レビィと心を通じ合わせ、恋人という肩書きになったのも三ヶ月ほど前だったか。
最も、周りには知らせておらず事情を知るのはリリーだけと言ったところだが。
自分のような者と、この国の姫が結ばれることをあまり良く思っていない者も少なくない。
そもそも、ガジル自身がそう思っていた。
あの姫が、自分と恋人関係にあるなんて正直今でも信じ難い。
けれど確かに、頬に触れることができ、唇を奪うことができる。目を見つめることができる。手と手を、繋ぐことも。
そんなきゅうきゅうと胸を締め付けてくるくすぐったさを、とても心地よく感じていた。
国を統べる者は、国を知らねばならない。
レビィは明日の朝、視察に行く予定であった。
少し郊外の土地へ赴くことになるので、あまり騒ぎになっても危険が及ぶ。
というわけで視察は隠密に、姫と、姫から最も信頼の厚いガジル将軍が護衛で向かうことになったのであった。