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□濃紺に咲く
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まだまだ続く暑さの中、夕方になるにつれ大きくなる街の喧騒。


今日は一年で一番たくさんの花火が上がる、大きな花火大会だ。


そのため人がいつもの何倍も多く、街を賑わしていたのだった。




ガジルが花火大会の存在を知ったのは、ニ週間ほど前である。


休日にレビィと出かけていたところ、ポスターを発見したのだ。


目を輝かせたレビィに誘われ、断る理由はなく行くと返事をした。


人ごみは鬱陶しくて好きではないが、レビィが喜ぶのなら。


すっかりレビィに絆されている自分自身にやれやれと思いながらも、まぁいいかと思う自分もいた。





「ガジルも浴衣着てきてね!」


「浴衣ぁ?なんで俺まで」


「だって…絶対かっこいいもん」





照れたような笑顔でそんなことを言われて悪い気はしない。




「…仕方ねぇなぁ」




そして翌週、浴衣を買いに行くことになるのだが。


我ながら単純だと思ったし、買い物に付き合ってくれたリリーにもニヤリとした笑顔を向けられた。




そんなやり取りがあり、今日は花火大会当日。


ガジルは上品な灰色の浴衣に墨色の帯を締め、下駄を履いて待ち合わせ場所にいた。


普段着慣れないものを着ると落ち着かない。




周りにも待ち合わせをしているらしき人が多いが、レビィはまだのようだ。
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