novel
□暗闇の中で
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ゴロゴロゴロ…
ピシャッ
ドオオォオオーーーン
びくっ
ガジルの相棒、リリーがその音に震える。
あぁ、こいつ雷苦手だったな。
先に帰らせたほうがいいか。
もう夜も遅いことだし、
ギルドにはほとんど人はいないだろう。
「リリー、先に帰ってていいぞ。こっから近いだろ。」
「あ、あぁ。すまんな。」
耳を押さえながらびくつくリリーは、
なんとも可愛らしい。
本人にはいえないが。
ガジルはリリーと別れて、ギルドへ向かった。
***
ど、どうしよう…。
レビィは本に夢中で、
帰ることさえ忘れてまだギルドにいるのだった。
もうほかに人はいないし、外の天気も大荒れだ。
「がんばって帰るしかないかなぁ…」
すると、バタンと入り口から音がした。
振り返ると、見慣れた黒髪が見える。
「…ガジル?」
「お前、まだ残ってたのか」
「あ、はは…。本読みふけっちゃって。…あれ、リリーは?」
「先に帰らせた。雷鳴ってるしな。」
「そっか、苦手だったもんね。」
そしてガジルが応えようとした瞬間、
フッ
「えっ」
「…停電か」
激しい雷により、停電してしまったようだ。
…リリーは大丈夫だろうか。
「が…ガジル、どこ…?」
先ほどの明るい声とは違う、
不安げな声が聞こえる。
「ここにいるだろ」
「見えないよ…っわ!」
レビィが何かにつまづいたらしい。
ガジルは咄嗟に手を伸ばす。