novel
□存在
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−さよなら、ガジル…−
ガジルは嫌な汗でハッと目を覚ました。
外は明るく、日が出てからけっこうな時間が経っていると見える。
「(…なんだ、今の夢…)」
心臓はドクドクと少し早く脈打ち、
なんとも言えない焦燥感があった。
あの見慣れた青い髪が、
スッと目の前から消えていった。
それが夢だということに
少しだけ安心する。
「ガジル、大丈夫か。うなされていたぞ」
横にいたリリーが心配そうに言った。
レビィがいなくなるはずがねぇ。
そう思うが、焦りはおさまらず、
ガジルは支度もそこそこに
ギルドへ足早に向かった。
「どうしたと言うんだ、ガジル?」
「いや…」
居てくれ、どうか。
ギルドに入り、見渡すが見当たらない。
いつものカウンターに行くと、
ミラが食器を拭いていた。
「あら、ガジル。今日は少し来るのが遅かったのね?」
「…レビィは?」
「ああ、いい仕事もないからって本屋さんに行ったわよ」
「そうか…」
そこでリリーが提案する。
「ガジル、迎えに行ったらどうだ。何だかわからないが、心配なんだろう?」
「…ああ。」
いつもなら、
誰が行くかと返ってきそうなところなのに。
ガジルはこれもまた足早に
ギルドを出て行った。
「…ふふ。レビィ、愛されてるのね」
「ガジルは無意識のようだがな」
ミラとリリーだけが、
楽しそうに笑っていた。