novel

□弱点
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可愛い、っていうと、

大体思い浮かべるのは

女が好きそうなモノ。


ぬいぐるみだったり、

雑貨だったり部屋だったり。



可愛い、なんて言葉、

俺には無縁だと思ってた。


…けど。




「おはようガジル!リリー!」


こいつの存在は、

可愛いって言葉がないと成り立たないようだ。


青い髪で本が好き、

俺がひどい目に遭わせたにも関わらず

俺の周りをうろちょろする心の広さ。


レビィに対する関心はそんなものだった。


でも最近は違うようだ。


さっきみたいに挨拶してきたり、

俺を見つけては走ってきてこけそうになったり、

俺がからかうのを真に受けて眉を下げたり。


百面相するこいつは面白くて、




…可愛くて仕方がない。




「…って、聞いてる?…どうしたの、ガジル」


レビィの言葉で我に返る。

どうやらレビィのことを見つめたまま

ぼーっとしていたらしい。



「体調悪いの?」


少しおろおろしながら訊いてくる。

こういうところも、そう、可愛い。



「お前可愛いな。」


「…え!?」



気づいたら声に出てしまっていた。

しまった、俺のキャラじゃねぇ。

…ま、いいか。


言われた本人、レビィは…


「…っ」


驚きと嬉しさからか、顔を真っ赤にさせて口をぱくぱくしていた。

…おもしれー。


もちろん本心で言ったわけだが、

何も言い返せなかったらしい。


もしものときは、この手段を使おう。

レビィの可愛らしい弱点。


さて明日から、どうやってからかってやろうか。

俺は未だに硬直しているレビィと、

動かないレビィに慌てるリリーを見てから

顔を伏せて目を閉じた。





→あとがき
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