novel

□言葉
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レビィには、少しだけ不満があった。



それは、恋人のガジルに対するちょっとした不満。



実に女の子らしい不満だった。








「ねぇ、ガジル」

「あ?」

「私のこと好き?」

「…あァ?」



怪訝そうな顔でこちらを見つめるガジル。


まぁ、普段言わないようにしていたことを突然言ったのだから一瞬理解できないのは当然だ。


でも、ずっと言いたかった。


好きって言って欲しい、って。



「ねぇ、好き?」

「…言わなきゃわかんねェのかよ」



違う、そんなのわかってる。


好きかどうかを確かめたいんじゃない。


言葉で言って欲しいだけ。


ロキみたいに、常にそうしてほしいとは思わない。


でも、たまには口に出してちゃんと伝えてほしいのだ。


もっとも、ガジルは絶対にそういう考えに疎いタイプだとわかってはいるが。



「ちがうの。ちゃんと口で言って欲しいんだもん」

「はっ、くだらねェ」

「…くだらないって何よ」

「お前はちゃんとわかってんだろ?ならそれでいいじゃねぇか」



ああ、全く。


わかってない。全然わかってない。


知らないでしょう、あなたの言動ひとつに私がどれだけ振り回されるかなんて。


きっと口で伝えてくれるだけで、まるで昇天してしまいそうなほど嬉しくなるに決まってる。


それをこの男は。



「ガジルのバカ!全然わかってない…!くだらなくなんかないもん!」



とうとうレビィの目尻に、じわ、と涙が浮かぶ。



「は!?泣く意味がわからねェ!と、とりあえず泣き止め!」


「ガジルのバカ!バカ!バカ!!」



そう言い捨てて、レビィはギルドを飛び出して行ってしまった。
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