novel
□泣くほど好きなの貴方のことが。
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ここ最近、ため息が増えた。
仕事はうまくいっている。
人間関係も悪いことは一つもない。
ただ。
最近、ガジルとなかなか会えないのだ。
付き合い初めてそれなりに年月が経った。
彼のことは変わらず大好きだし、向こうも変わった様子はない。
けれど、なんというか絶妙なすれ違いが発生している気がするのだ。
仕事のタイミングが合わず、ゆっくり話をする機会もない。
ただ、これを誰かに相談したところで解決はしないとわかっている。
仕事は仕方のないことだ。
だから当然、ガジル本人に言える文句などあるわけがなかった。
なんだか、最近ネガティブだ。
自分でそう思う。
何故なのかはわからないけれど、それも女である特性かなと片付けている。
自分に自信がない。わけもなく不安になる。寂しさをどこで紛らわせばいいのかもうわからない。
部屋で一人、冷めたコーヒーを飲みながら、本を読む気もせずぼうっと過ごす。
布団に潜ると途端に溢れ出す、涙。
もう、なんで泣いているのか、なにがそんなに悲しいのかわからなかった。
けれど、ガジルに会いたいことだけは自分の中ではっきりしていたのだった。