novel
□隣にいる幸せを。
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夢を、見た。
自分はまだ幼くて、周りに面倒を見てもらって。
けれど本当の親はいなくて。
優しくて、寂しい夢だーーーーー。
ふわふわとした微睡みの中で目を覚ます。
あれ?ここどこ?わたし何してたんだっけ…
瞼がいつもより重たい気がする。
それに身体も熱い。
起き上がろうとしたものの、力が入らずボフッとベッドに倒れこんだ。
もしかして、わたし。
「起きたか」
え、どうして。聞きなれた声がする。
懸命に首を動かして声の方を見やると、何やら色々と乗ったトレーを持ってドアを閉めるガジルの姿が目に入った。
「…ガジル…?」
口から零れた声音は、自分でもびっくりするほど弱々しい。
「気分どうだ」
「…、へ…?」
そもそもここがどこで、何故ガジルがここにいてその質問をしているのか、まだ思い出せていなかった。