novel
□空が咲く、夜が笑う。
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「ねーっ!ガジルってば!うふふー」
「む。もう飲めん…」
…一体なぜこうなったのだったか。
今日、ガジルとリリーは朝早くから仕事に出掛けていた。
とある町の大きな酒場を建て直すのに人員が少なく、力仕事を任されたのだ。
レビィは眠い目を擦りながら、まだ空が薄暗い中二人を送り出したのだった。
仕事へ赴いたその町は、なんでも良質な酒が特産らしく、報酬に加えて立派に包装された酒の瓶を手渡された。
夕方、レビィが待つ家へと帰り、その酒を見せると嬉しそうに笑って、今夜はごちそう作るねと言いながら空色の髪を束ねた。
そして、レビィが作ってくれたごちそうを上質な酒と一緒に頂いた…ところまでは良かったのだが。
口当たりがまろやかなその酒は、思ったよりもずっと飲みやすかった。
美味しい美味しいと言いながら、レビィはいつもよりも早いペースでグラスを空けていった。
飲みすぎんなよ、と一応促してはいたものの、ものの見事に酔っぱらったレビィが完成してしまったのである。
「あー、おいしー!ねーリリー!」
「確かにこれは美味いな」
リリーはそんなに酒に弱くはないはずだが、力仕事の後の身体には染み渡るのか、しばらくすると小さなブラウンの頭がテーブルに突っ伏した。
そして、冒頭へ至る。