novel

□暗闇の中で
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ドサッ


倒れこんだレビィを、
ガジルが難なく受け止める。


「あ、ありがと…」

「危ねぇな」


そういいながら、
ガジルはレビィを離そうとしない。


「ガジル…?」


レビィからはガジルの顔は見えず、
何を考えているのかもわからない。


そしてガジルはレビィを…


ぎゅ、と、抱きしめた。


「へっ!?あ、あの、が、が、ガジル…!?」


顔は見えなくても、
レビィの顔は動揺して真っ赤になっているのがわかる。


「俺はここにいるだろうが」


ほら、と言わんばかりに
腕の力を少し強くする。

低くて安心する声。

前は怖くて仕方がなかったのに、
こんなにも。


「う…うん…」


そろそろと、
レビィも応えるように
ガジルの背中に腕を回した。


「(心臓の音、聞こえないかな、こんなにドキドキしちゃってるのに…)」


ガジルへの思いは、
恐怖から片思いまでになった。

そんな彼に抱きしめられて、
嬉しくないはずがない。



そのままどのくらい経っただろうか。



「…電気、つかないね」

「…だな。」


でも、つかなくてもいいかも。

そう思っていたのは、ガジルも同じだった。

もう少し、このままでいたい。


そうして抱き合ったまま、
5分ほど過ぎたころ。
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