novel
□焦がれる。
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「それ明日だろ?…明日なぁ…」
ガジルはなにやら考え込んでいる。
やっぱり…ダメ、かな。
そこでミラが、何やらガジルに耳打ちした。
「レビィは行きたがってるわよ。ほかの誰かと行かせてもいいの?」
「……」
ほかの誰か。
…ほかの、男。
想像するのも癪に触る。
「行くぞ、明日」
「そうだよね…って、え!?いいの!?」
てっきり断られると思っていたレビィは、予想外の返答に驚く。
ガジル、ダンスの方は
大丈夫なんだろうか。
でも、正直それはどうでもいい。
一緒に行ってくれるんだ。
「良かったわね、レビィ。」
「ありがとう、ミラ!」
嬉しそうなレビィを見て、
ガジルの頬が少し緩んだ。
それから明日の待ち合わせ場所と時間を決める。
レビィの胸は躍った。
***
次の日。
「わあぁ急がなくちゃっ」
あまり着る機会のなかった
自分のドレスをひっぱり出して、
準備しながらうっとりしていたら
いつの間にか時間が迫っていた。
急いで歩く。
ドレスなので、走ることができないのが今はもどかしかった。
待ち合わせの場所が近づくと…
見慣れた黒髪が見えた。
ただし、今日は正装だ。
それだけでレビィの胸は、きゅんと切なくなる。
ガジルもレビィに気づいたようで、
こちらを見ていた。
「おせぇぞ」
「ご、ごめんね…」
しゅんとうなだれるレビィは、
いつもとは違った。
***
あいつ、おせぇな…。
時間も場所も合っているはずなのに、
レビィがこない。