novel
□私だって、負けてない。
2ページ/9ページ
「そうよ!あたしはマリー。あなたに会いたくて探してたの。きっとあのバーで出会ったのは運命だったのね!」
もはや勢いに圧倒されてガジルもレビィも何も言えないでいた。
「出会ったって…あれは一人で飲んでたらお前が勝手に隣に、」
「だって一目惚れしたんだもの」
直球すぎる。
レビィはだんだんと暗い気持ちになっていた。
こんな美人で、スタイルもいい女の子に直球で告白されれば、どんな男だって多少は傾くに決まっている。
「おま…何言って…」
ガジルがほとほと困ったようにこちらに目線を向けてきた。
予想していなくて、ガジルと目が合う。
よかったじゃない、ガジル。
こんな美人に告白されて。
意地を張って言ってしまいそうな言葉でさえも、気力を失って喉からでてこない。
そこでようやくレビィを目に留めた桃色の彼女。
「…あら?ガジルの妹さん?」
「…!」
それが本気なのかわざとなのかわからなかった。
だけど、少しの嘲笑も含まれてる気がした。
まるで勝ち誇ったように、もうガジルは自分のものだとでも言いたげに目線を向けられて、レビィはひどく打ちひしがれた。
何も言ってくれないガジルに対しても、何も言い返せない自分に対しても。
「あ、レビィちゃん!いたいた!」
この声は、親友だ。
「約束してたでしょ?早く行こう!」
ああ、ルーちゃん。
約束なんてしてない。
助けてくれたんだね。