novel
□彼女の泣き顔は、
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チームシャドウギアが仕事で向かったのは郊外にある山だ。
中は意外と入り組んでいて、確かに山賊が寝ぐらにするにはよさそうな山である。
ここに、レビィがいる。
かすかに彼女の匂いが残っている。
ガジルはレビィの匂いを頼りに、険しい道も厭わず山の中を進んでいった。
すると、ひときわ匂いが強くなった。
わずかに人の声も聞こえる。
ガジルは迷わずそちらへ歩みを進めた。
「いやっ!」
たどり着いた山奥でガジルが見たのは、何人かの山賊がレビィに群がる、最悪の光景。
手足は押さえつけられていて、衣服は少し乱されたと見える。
ああ、…殺してェ。
何より、
彼女は泣いていた。
「ガジル…っ」
涙に滲んだレビィの瞳が安堵の色を帯びる。
「ア?なんだてめぇ、正義のヒーロー気取りか?」
「一人で勝てると思ってんのかよ」
山賊たちの馬鹿にしたような笑いが響く。
「てめェら、生きて帰れると思うなよ」