novel
□青い妖精
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花束が届くようになってから2週間。
ガジルではないと知り、差出人不明の花束が届く日々に気味が悪くなる。
でもただのイタズラかもしれないし…
ここは、ルーシィやジュビアに相談するのが賢明かと考えた。
「「…薔薇?」」
とあるカフェで、ルーシィとジュビアと待ち合わせこっそりと話を聞いてもらった。
最近、毎日薔薇の花束が届くこと。
差出人は不明で、少なくとも恋人であるガジルではないということ。
「なにそれ、ちょっと気持ち悪くない…?」
「でも、レビィさんに心当たりはないんですよね?」
「うん…まずギルドの仲間以外で花束を贈られるほど親しくなる、なんてことないし…」
「最近行った仕事とか?」
「最近は討伐系が多かったから、あんまり人と話す時間もなかったかな」
「そっかぁ…いよいよ意味わかんないわね」
ルーシィがため息をついた。
「レビィさん、もしかして…それストーカーかも…?」
ジュビアが心配そうに言う。
「え、ストーカー?」
ルーシィが聞き返し、レビィも同じように首を傾げた。
「花束を贈るということは、住所を知られているわけですし…レビィさんから積極的に仲良くなった方が思い当たらないのなら、そうかなって…」
確かに、一理ある。
でも花束が届くだけでは今いち確証が得られなかった。
「でも可能性はあるよね…気をつけて、レビィちゃん」
「何かあったら、すぐ言ってくださいね」
心底心配してくれる二人に感謝しながら、その日は解散となった。
レビィが寮に着くと、郵便が来ていた。
…?
封筒を開け、…レビィの手が僅かに震える。
「こ、れ…」
そこには、カフェでレビィ、ルーシィ、ジュビアが話をしている様子を収めた写真が入っていた。
ついさっきまでいた場所だ。
レビィの心臓がドクドクと嫌な音を立てる。
…見られてた?
ー…ストーカーかも…ー
ジュビアの声が頭の中を反響し、冷や汗が流れた。
怖い。
見られてるかもしれない。
レビィは窓を閉め、カーテンを閉めて布団にくるまった。
ガジルに会いたい。
安心したい。
レビィはまともに眠れぬまま、ただ朝を待った。
早朝。
レビィは身支度もそこそこに寮を出ようとする。
…また花束が届いていた。
これで何回目だろう。
しかしいつもと違うのは、メッセージカードが付いていたことだ。
恐る恐る手にすると、
『愛してる』
とだけ書いてあった。
再び心臓が早鐘を打つ。
はやく、ギルドへ。
レビィは早足でギルドへ向かった。