novel
□空が咲く、夜が笑う。
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もしも、自分がレビィの言う通り以前より良い方向に行っているのだとしたら。
それは間違いなく、そばに居るのがレビィだからだ。
「俺をこんな風にしたのはお前だろ」
「へ?」
リリーがむにゃむにゃと寝言を言っている。
我が相棒ながら良い相槌だ。
「いいからもう酒飲むなオメーは。ほら水」
レビィの小さな手からグラスを優しく奪うと、代わりに水がたっぷり入ったものを渡す。
「えー」
不満そうに唇を尖らすが、素直に水を口に運んだ。
お前こそそれ以上綺麗になんじゃねェよ。
その言葉は、ギリギリで飲み込んだ。
…はずだった。
「…え」
レビィのその声に、しまったと彼女を見ると酔いの類ではない赤みが頬を覆っていた。
どうやら酔っ払っているのはレビィやリリーだけでは無かったようだ。
「ガジル、それどういう…」
酔いが覚めてきたのか、戸惑うようにレビィが呟く。
もうここまで来てしまったら流れに身を任せるしかない。
そうだ、俺は今酔ってる。
そういうことにしておこう。
「俺の身が持たねェんだよ」
そう言って、逃げるようにテーブルに突っ伏した。
ゴトッとコップが滑り落ちた音がして、続いてレビィが慌てる気配がする。
それを感じ取り、ガジルはテーブルに隠した口元をしてやったりと緩めたのだった。
→あとがき