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□sort 第一話
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―冬木市、町外れの館にて



青年は冷たく、湿度の高い石造りの廊下を歩いていた。
日本で珍しい造りの洋館…というよりは凝縮した城である


ふと青年の視界を黒い何かが掠める。

確かめようと廊下の壁から覗く彼は後ろに金色の粒子が結束し、影が降りたった事に気づかない。


「おい、そこで何をしているのだ」

「うひゃぁあっ!」


背後から彼に声をかけたのは、濃紺を貴重とした衣装を身に身を包み、仄かに芳香を漂わせる雪の様に輝く銀髪をたくわえた少々大柄な女性。
彼女は薄い唇の端を上げて佇んでいた。

「まったくこの程度で悲鳴を上げるとは…本当にお前は我がマスターか?」

「そうだよ。何か悪いか。仕方ないだろ。あたったのがお前だったんだからさぁ…」

そう、情けない声を上げた青年がこの女性サーヴァントのマスターであるのは間違いないのだが。
いかにもガッカリした、とでも言いたげに肩に手を持っていく青年。
お前、と称されたナディーアの顔に血管が一筋浮かぶ。


「励音、実に残念だ。」

ジャキリ


彼女が重々しい音とともに取り出したのは銀光がギラつくS&W M19コンバットマグナム。


「…おいおい。嘘でしょ。」


マグナムを見た励音は額に汗を浮かべ、両手を顔まで持って行き降参するが、じり、じりと壁へと追い詰められていく。
壁に励音の背中がつくまで追い詰められたとき、カチリと安全装置が外される。

励音「いやいやいやお前マスター殺したらお前大変だろ色々。ね!ほら!死んじゃうし!!」

必死に訴える励音。

心底残念だ、という顔をするナディーア。
励音の目と目の間に銃口が押し付けられる。


次の瞬間、
パンと軽い音がして、励音の目の前は真っ赤に染まった。



(こんなことで死ぬなんて…阿保らしいにも程が有る…)

励音は意識が遠のくのを感じつつ思った。


―なんで俺こんな奴召喚したんだろ。
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