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□sort 第二話
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―冬木市

それぞれのサーヴァントが死闘を繰り広げる中、町外れの洋館では酒を大量に煽るサーヴァントの姿があった。


ソファーに寝転び、次々とボトルを空にしていくのはナディーアであり、アルコールの分解が遅い日本人では明らかに無理であろう量が彼女の腹へと消えていく。


「なんだこの安酒は…不味いの一言に尽きるぞ全く。」

中身が無くなった瓶はソファーの傍らのボトルの山に仲間入りする。

「買いに行かせておいてそれかよ」


励音が苛立っても仕方ないだろう。
いや、寧ろ苛立たない方がおかしい。

彼の家にあるワインクーラーにあるワインも、他の種類の酒がはいっている冷蔵庫もすっかり空になってしまい、(ナディーアのせいであることは言うまでもない)ナディーアが「足りない!」と言うので、仕方なく励音がスーパーで購入してきたのである。


「よっこらせっ」

親父臭い掛け声で立ち上がったと思えばナディーアはいきなりすっと金色の霧のようにどこかへ消えてしまった。

その後決まって励音がキッチンの引き出しから大きな袋を一枚取り出し、ボトルの山の回収に慣れてしまった事に悲しくなりつつも片っ端から瓶を袋に放り込んでいき、毎回近所のおばさんに変な目で見られながらちゃんと指定日に分別し、処分する羽目になるのをナディーアはわかった上で酒を大量に消費している。

このままでは他のサーヴァントと戦う前に励音がストレスで死ぬかもしれない。

なぜなら唯一の癒しの時間の風呂ももう安心しては入れなくなってしまったからだ。

この間ナディーアが一緒に入ろうと駄々をこね、結局入る羽目になったのだ。

彼女なりのスキンシップのつもりらしいが、励音には悩みの種でしかなかった。

それに彼女が現界した位はプレイヤーといい、(そもそも存在しないはずなのだがナディーアは「知らん」としか言わないので励音はもう気にしないことにした)自由に動きまわれるのだから頭が痛い。

まぁ、唯一の救いはどこに居るか、なんとなくと曖昧な形ではあるがわかると言うところだろうか。


瓶を袋に入れ終わって、自室に戻った
励音は、そのまま勢いよくベッドに倒れ込み、寝息をたてはじめた。
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