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□sort 第四話
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「ちょっと、煩いわよ。」
私の太鼓の音にしびれをきらし、姉のヴィルヘルミーネが私を叱る。
「そんなうるさいものはやめて、お花で遊んだらどうなの?」
女性らしい提案をした姉に対して私はこういった。
「花なんかで遊ぶより、太鼓を習ったほうが役に立つもん」
私がそう言えば父はさっそく太鼓を持つ私の肖像画を絵師に描かせたものだ。
父…フリードリヒ・ヴィルヘルム1世は兵隊王とあだ名される程の無骨者でな、芸術を一切解さなかった。
だが母は洗練された宮廷人の為、私の教育方針でいつも対立していた。
私はどちらかと言うと母の方に似ており、芸術の方に傾いていてな
音楽を好んでクヴァンツにフルートの手ほどきを受けて習熟し、演奏会を開くこともあった。
私は美しい音楽に囲まれていると幸せだった。
その時間が私を満たしてくれた。
なにもかもが美しい音に囲まれていった。
―だが父はそれを許してはくれなかった。