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□sort 第六話
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「Brrrr!!」
飛びかかっててくるバーサーカーを淡々とかわしながらも、思考は停止しないナディーア。
―あれはなんだ?
ナディーアの胸に浮かぶアバウトすぎる疑問。
彼女の言うあれとは、先ほど雁夜が口にしたごめんね、という単語のことである。
どういう意味の「ごめんね」だったのか。
そこがどうもわからない。
殺してしまうが、という意味なのか?
しばらくその路線で考えたが、少し違う、と首をふった。
あれには明らかな殺意と、冷たく堅い決意が共存していた。謝罪の念など微塵も含まれてはいなかった。
「わからんねぇ…」
ふとバーサーカーから目をそらすと見るも無惨な壁の残骸が戦場と化した町中であるかのように散乱している。
…実際戦場なのだが。
「まったく、いつの時代も変わらないものさなぁ」
そんなことをいってもバーサーカーが攻撃をやめるはずもなく、下水道のいたるところが破壊されていく。(現在進行形←ここ重要。)
もし、本当にやみくろがいるのならきしりと金属と金属を擦りあわせたかのような声で、腕を伸ばして、我々を闇の底へ沈めていたのかもしれないな。
そんな事を考えるナディーアの頬をバーサーカーの刃が掠める。
「こりゃあちょいとヤバイかもしれない。」
舌なめずりをし、ぽつりと言うナディーア。
突如彼女の目の前に表れたバーサーカーの足が、ナディーアの腹に食い込んだ。
まともにくらい壁に吹っ飛ぶナディーア。
多少の血を吐き出すも、白い歯を食いしばって立ち上がってニタリと笑うが、フラりと一瞬揺れたところを見ると、魔力も足りていないようだ。
「あんの馬鹿マスターはどこで寝腐ってんだよ…」
ぺっ、と地面に血混じりの唾を吐く。
だが一向に武器を出そうともしない。
それどころか粒子になって消えていく。
その為バーサーカーが攻撃しても腕はすり抜け、壁が抉られていく。
そのことを嘲笑うかのようにわざとゆっくり消えていくナディーア。
「アーチャーさんとは違って、こちらは貯蓄型なんでね。おいとまさせて頂くよ。…まあ、聞いちゃ居ないだろうけども。」
案の定攻撃をやめようとしないバーサーカー。
首から下がなくなったナディーアは、バーサーカーを鼻で笑う。
「お前さんはそれ以外に能がないのかね。」
―まるで狗だ。
消える直前、ナディーアは別れを告げようと雁夜に目を向けたのだが、彼女の目に写ったものは、身をよじっては何かに耐えるような悲鳴を上げる雁夜の姿だった。