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□悲しい現実
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大掃除の翌日

私はいつものように洗濯物を干していると

にゃあー

にゃあー

―『あ、ユキにスノウじゃない』―

二匹の白い猫が私の足元にいた。
ユキとスノウは、初めて会った時から兄弟のように仲良しだった。

にゃあーにゃあー

にゃあー

二匹は私の袴を引っ張りだした。

―『どうしたの?どこかに行きたいの?』―

にゃあー!

にゃあー!

私がそう言うと、ユキとスノウはどこかに案内しようとしていた。

―『待って!そんなに早くなくてもいいじゃない!』―

私はその場から離れた。



『…あれ?どこに行っちゃったんだろう…』

いつの間にか、ユキとスノウの姿を見失ってしまった。

『もう…早く行かないでって言ったのに…』

そう思っていると

『…あれ?…沖田さん?』

外の椅子に座る沖田さんがいた。

『…寂しそう』

その姿は、今にも消えてしまいそうな感じがした。

「…あ、桜ちゃん」

沖田さんが私の存在に気づいた。

―『こんにちは』―

―「こんにちは。…こっちに座りなよ。そんなところで立ってないで」―

沖田さんは、左の空いている席をポンポンと叩いて言った。

私は、沖田さんに従って隣に座った。

―『…どうかなさいましたか?』―

どこか様子がおかしい沖田さんに尋ねた。

―「別に何も。君こそ、なんでここにいるの?」―

…質問を回避されてしまった。

―『ユキとスノウを追いかけていたらここにいました』―

―「つまり、逃げられちゃったんだ」―

…コクン

私はゆっくりと頷いた。

「…」

「…」

暫く、私達の間に沈黙があった。

―「…あのさ」―

その沈黙を沖田さんから破った。

―「もしも、君が重たい病気になって、その時には君が守りたい人がいるとするよ。
その時、君は自分の命を捨てる?それとも、大切な人を捨てる?」―

「…」

私はその質問に少し考えた。

―『…それ、選択は二つしかないのですか?』―

「え?」

私が予想外の質問をしたからか、沖田さんは少し驚いていた。

―『私なら、病気と戦って、尚且つ大切な人を守る』―

「…ハハハ!!」

突然、沖田さんは笑い出した。

―『え?お、沖田さん?私、変な答えを出しましたか?』―

―「あ、いや違うよ。あまりにも予想外の答えを出すから思わず笑っちゃった」―

呼吸を整えて、沖田さんは私の顔を見た。

―「…君になら…言っても良いかな」―






















―「僕、労咳なんだ」―

私は、その言葉に一瞬空気が止まったように思えた。
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