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□放課後
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放課後

帰る支度をしていると

―「愛ちゃん、僕達と一緒に帰ろうよ」―

沖田君と斎藤君が2年A組の教室に入ってきた。

―「うん。一緒に帰ろう!」―

鞄を持ち、3人は教室を出た。

ガヤガヤ ガヤガヤ

その際、教室が一瞬で騒がしくなったのに疑問に思った。





―「3人で帰るのって久しぶりだね」―

―「そうだな」―

―「一学期の終業式以来だよね」―

私達3人でいつもの道を歩く。

―「それにしても、平助。僕達より彼女を優先するとは…」―

―「良いじゃない。それぐらい、千鶴ちゃんが大好きなのよ」―

平助君は千鶴ちゃんと放課後デートらしい。

『カップル…いいな…』

小さい頃から、
こういった普通の恋愛に憧れていた。

手を繋ぎながら街を歩き、
どこかで買い物をしたり、喫茶店で他愛もなく話して…。

―「…羨ましいな」―

―「何が羨ましいの?愛ちゃん」―

―「!あ、あれ?私、口に出してた!?」―

尋ねると沖田君はニコニコとして

―「うーん。【手を繋ぎながら〜】からかな?」―

「…〜っ!!」

『やだ!何口に出してるのよ私!』

頬を手で隠す。
…きっと、今の私の頬は真っ赤だ。

―「総司、黒木をからかうな。困るだろう」―

―「え〜。別にからかってなんかないよ。
ただ、そんな風に考えてる愛ちゃんが可愛いなって思っただけ」―

「…〜!」

【可愛い】と言う単語により一層顔を紅くする。

―「〜もう!沖田君の意地悪!!」―

―「え〜。本当の事を言っただけなのに〜」―

―「…落ち着け、二人とも」―






















暫くの間、私達の間に手話が飛び交っていた。
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