HAND
□怖い…
1ページ/2ページ
ハッ!
私は意識を取り戻した。
『…なんだったの…?』
そう思って、辺りを見渡した。
『…ここ…東京じゃ…ない』
高いビルや街灯の灯りがない。あるのは古い街並みと月明かりだけだった。
『…怖い…』
本当だったら、どこからか音が出ているかもしれない。けど、耳に補聴器をしているだけの私にはその音が聞こえない。
それが怖いと思った。
そう考えていると
『…何?』
どこからか、奇妙な気配がした。
私はその気配の源を探してみると
『…!』
人が刀で人を殺している現場がそこにあった。
気配も加害者の白髪の男達から漂わせている。
『怖い…』
その光景はあまりにも酷かった。
そして
『…あ!!』
私は恐怖のあまりに転んでしまった。
そして、一人の白髪の男がこちらを見た。
私の存在に気がついたようだった。
「…!……!!」
その男は何かを言っていた。
しかし、辺りが真っ暗では口が読めないため、私は読み取る事はできなかった。
すると
『…!』
男が私に向けて刀を振ってきた。
私は体を庇うように縮めた。
しかし、予想していた痛みが来なかった。
恐る恐る、顔を上げてみると
『…!』
先程とは違う人が私に刀を向けていた。
「――。…」
私はその人の口を読もうとした時、意識を手放した。