HAND

□屯所案内
1ページ/3ページ


「なあ!良かったら屯所の中を案内するぜ!」

あれから数日経ったある日、平助君が私の部屋にきて屯所を案内すると言い出した。

―でも…、良いの?お仕事があるんじゃないの。

その質問に平助君はニッコリと笑い、言った。

「大丈夫だよ。オレ、今日は非番だからさ!」

それを聞いた私は

―じゃあ、お願いします。

私は屯所の中を見る事にした。



「まずは勝手場だ!」

―いきなり勝手場…。

「別にいいだろ?」

そう言って、平助君は勝手場の中に入っていった。
私も勝手場に入った。

『…竈だ…!』

現代の日本にはあまり見かけなくなった竈が目の前にあった。

『うわ〜。すごい…!』

私はじっと竈を見た。

トントン

肩を叩かれ、私は振り向いた。

「何竈をじっと見てるんだ?」

―未来の日本にはね、竈があまりないの。私もあまり見た事がないから珍しくて。

「え!?じゃあ、どうやって飯を作るんだ!?」

―現代の日本はガスが主流ね。ガスっていうのは燃料のような物。火の付け方もずっと楽になってるの。

「ヘェ〜。そんなに変わっているんだ…」

―私の家にも竈はないわ。けど、一回学校の野外学習で竈で料理を作った事はあるわ。

「学校…?」

―今でいう、寺子屋の事だよ。

「ヘェ〜。…なあ、桜は料理は得意か?」

じっと私を見つめる平助君。

―得意だよ。幼い頃から、母の手伝いをしてるからね。

「そうなんだ!じゃあさ、今度料理作ってくれよ!」

また表情をコロコロと変える平助君。

「オレ、一度女の子の料理が食べたいって思ってたんだ。だから、頼む!」

手を合わせ、お願いする平助君。

―一度じゃなくて、何度でも頼んで良いよ。今度、土方さんに勝手場を使って良いか頼んでみるね。

以上の事を書いた紙を平助君に渡した。
平助君はすごく嬉しそうな顔をした。

「ああ!お願いするぜ!」

私は平助君と約束をした。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ