HAND

□声
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指文字を全て習い終わった千鶴ちゃん。
私は千鶴ちゃんとしりとりをしようと思った。

「しりとり?なんで?」

恐らく、彼女の周りには?マークがたくさん出ているはず。

―ただ、覚えるだけじゃ駄目なの。すぐに使えるようにならないと忘れちゃうの。
で、一番手っ取り早く覚えやすいのは『しりとり』なの。

「…そうなの?」

―そうよ。頭や手を使うし、意外と面白いよ。やってみよう?

千鶴ちゃんはコクンと頷いた。



しりとりのルール
声は出さない。
お互い知っている言葉を使う。

となった。

「サイショハ、チヅルチャンカラハジメテ」

「うん」

千鶴ちゃんは何の言葉を出そうか考えていた。

「…いくよ」

コクン

―『しんせんぐみ』―

『…新選組?』

いきなり、この言葉が出て驚いた。

次は私の番

『み…み…』

考えて出てきた言葉は

―『みみたぶ(耳たぶ)』―

その指文字を見た千鶴ちゃんは自分の耳たぶを触った。

『正解だよ。千鶴ちゃん』

そして、次々に言葉が出てきた。



千鶴―『ぶた(豚)』―

私は左手で丸を作り、その丸を鼻に近づけ、右手の人差し指と中指で鼻を押した。

―『ぶたの手話?』―

―『そう、これが豚』―

千鶴ちゃんも真似た。

『千鶴ちゃんのぶたさん、可愛い…』

そう思いつつ、言葉を考えた。

桜―『たいこ(太鼓)』―

千鶴―『こま(駒)』―

桜―『まい(舞)』―

千鶴―『いしゃ(医者)』―

私は左手首に右手を当て、その後左手はそのままで、右手の親指を出した。

―『それで医者なの?』―

―『うん、脈を取る様子からきてるよ。で、これは男の人の場合。女の人なら…』―

脈を取る手話をした後、小指を出した。

―『親指が男、小指が女なんだね』―

―『そうそう。さ、次に行くね』―

桜―『やきいも(焼き芋)』―

千鶴―『もぐら』―

桜―『らんぽう(蘭方)』―

千鶴―『うさぎ(兎)』―

私は両手を手の甲が頭に当たるように置いた。

―『うさぎの手話だね』―

―『そうだよ。…千鶴ちゃんが兎の手話をやると可愛い…』―

千鶴ちゃんの兎の手話を見て思わずそう言ってしまった。

―『え?なんて言ったの?』―

気づいていないようだった。

―『何でもないよ』―



このような事が夜まで続いた。
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