HAND

□剣の実力
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千鶴ちゃんが新選組に来てから数日経ち、年も変わった。

パンッ パンッ

洗った洗濯物を広げ、物干しに掛けた。

『…変なの。私がいた時代は確か四月だったよね…なのに江戸時代に来たらもう新年…』

私は早生まれなので江戸時代ならもう少しで18歳になる。
しかし、未来では…。

『…とりあえず、歳の数え方は私がこの時代に来た日を基準にしよ…よし、洗濯物完了』

私は手の冷たさを感じながら部屋に戻った。



『…あれ?千鶴ちゃん…どこ?』

部屋に戻るといるはずの千鶴ちゃんがいなかった。

『…外に出たのかな?もし、そうなら大変…土方さんがいないとはいえ…』

土方さんと山南さんは外の仕事のため暫くの間、不在。

『…もし他の隊士に見つかったら大変だよ…。……探しに行こう』

私は再び部屋から出た。



『…千鶴ちゃん、どこ?』

屯所内を探し回る。

『…さっき、あの三人組を見かけたけど…千鶴ちゃんは知らないっていうし…』

あの三人組とは原田さん、永倉さん、平助君の仲良し三人組の事。昼間からお酒と女の子の場所に行くようだった。

『行く前に井上さんに捕まっちゃったけどね』

私は運良く巻き込まれなかった。
永倉さんはブウブウ文句を言ってた。

『巻き込まれたら千鶴ちゃんを探せなくなるじゃない。それに、昼間からお酒と女の子…駄目な大人の見本です』

後で三人(特に永倉さん)に喝入れようかと思った。

すると

「…あ」

千鶴ちゃんを見つけた。一緒に沖田さんと斎藤さんも

「チヅルチャン!」

「…あ、桜ちゃん!」

私は千鶴ちゃんに近づいた。

「…ナニガアッタノ?」

千鶴ちゃんがいつも左腰に挿していた刀が抜かれていて沖田さんの手の中に
一方、斎藤さんは左手で刀を持っていた。

「…タタカッテタノ?チヅルチャントサイトウサン」

「えっと…」

答えるのに困ってると

「そうだよ。千鶴ちゃん、お父さんを探したいって一君に頼んだらこうなったの」

沖田さんが代弁してくれた。

「はい、千鶴ちゃん。良い刀だね」

沖田さんが刀を千鶴ちゃんに返した。

トントン

肩を叩かれ、私は振り向いた。

「…天川」

「サイトウサン?ナンデスカ?」

「…以前に幹部と剣を交えたいと言ったな」

「…あ」

私が初めて稽古した時の事を思い出したした。

「え?桜ちゃん、剣を握った事があるの?」

沖田さんが驚いたようだった。
同じく、千鶴ちゃんも

「うん。デモ、アレカライロイロアッテワスレテタ」

「…俺もだ」

「…」

斎藤さんの言葉に私だけじゃなく、沖田さんも千鶴ちゃんも黙ってしまった。

『斎藤さんも忘れる事があるんだ…』

完璧主義の彼が忘れるなんて…新たな発見。

「一君も人なんだね」

「…どういう意味だ総司」

「別に〜」

「…でだ天川」

話を無理矢理戻した。

「良かったら今から、勝負してみないか?」

『…今から?』

「へェ〜面白そう。僕、道場から木刀持ってくるね」

沖田さんは道場に向かった。

「…行っちゃった。どうするの?桜ちゃん」

「…ワタシモサイトウサンノケン、ミテミタイ。…ヤッテミル」

私はその勝負を受ける事にした。
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