HAND

□不思議な青年
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山南さんが怪我してから数日が経った。



「…アサ…」

珍しく私は千鶴ちゃんより遅く起きた。
千鶴ちゃんは既にいなく、蒲団も畳まれていた。

『…そういえば、今日千鶴ちゃんは朝ごはんの準備があるんだっけ?』

あの日から千鶴ちゃんは少しの間なら屯所の中を出ても良い事になって、色々皆の手伝いをしていた。

『…さっさと起きよう』

すぐに起き上がり、蒲団を畳み、身支度をすませた。

『…そういえば、昨日も土方さん、夜遅くまで仕事してたような…』

昨夜、トイレに行くために外に出た時、土方さんの部屋の灯りがついていた。

『…とりあえず、見てみようかな…土方さんの部屋』



「ヒジカタサン、アマガワデス。オキテマスカ?」



『障子が開く気配がない』

誰かの部屋に来た時は相手が障子を開けるのを待つようにと土方さんにと言われていた。

しかし

『…何だろう、何となくだけど中に土方さんがいるような…』

すると

トントン

―『桜ちゃん?どうしたの?』―

千鶴ちゃんが私の肩を叩き、尋ねた。

―『土方さんの様子を見ようと思ったけど、既に広間に向かったみたい。返事がないの』―

―『え?土方さん、広間にいなかったよ?』―

千鶴ちゃんの言葉に驚いた。

―『…本当?』―

千鶴ちゃんは頷いた。

―『中は見たの?』―

―『私、相手が開けるまで入れないの』―

―『じゃあ、私が土方さんがいるか確かめるね』―

そう言って、千鶴ちゃんは土方さんの部屋の前で

「土方さん、雪村です。起きてますか?」

と言った。



―『返事がない…』―

―『そっか…って、千鶴ちゃん、何開けようとしてるの!?』―

千鶴ちゃんが土方さんの部屋の障子を開けようとしていた。

―『返事がないなら中を確かめないと!』―

そう言って千鶴ちゃんは障子を開けた。

「…」

「「…」」

三人とも黙ってしまった。

何故なら…

「…いつまでそうしている?」

土方さんが着替え途中だった!

「シ、シツレイシマシタ!!!!」

バンッ!

私は思いっきり障子を閉めた。

『みみみみみみみ見ちゃった、見ちゃったよ〜!ひ、土方さんの上半身!!』

私はお父さんとお兄ちゃん以外の男の人の裸に免疫がない。
学校の水泳の時でさえ、恥ずかしいぐらいに。

『あ〜穴があったら入りたい〜!!』

頭を抱える私に千鶴ちゃんは

「桜ちゃん!!戻ってきて!」

私の体を揺すり、我に返った。

―『は、恥ずかしかったよ――!!』―

―『私も恥ずかしいかった…』―

お互い顔を真っ赤にしてると

『…あれ?なんか、少し暗くなったような…』

私はそう思って、上を見たら

「で、誰の差し金だ?」

眉間に皺を寄せた土方さんが…

『こ、怖いよ〜!!』

そう思っていると

「さ、山南さんが土方さんを起こして欲しいって…」

千鶴ちゃんがここに来た理由を言った。

「山南さんは俺をからかったんだな……天川は?」

土方さんは私の方を見た。

「ワ、ワタシハ…キノウ、ヒジカタサンガヨルオソクマデシゴトシテタカラ…オキテルカナッテ…」

「…自ら来たのか」

コクンと頷いた。

「そうか…」

じっと私を見る土方さん。

『そんなに見つめないで〜!!』

土方さんの上半身裸の姿を思い出しそうになり、顔をまた真っ赤になりそうになった。

すると

「お、珍しい組み合わせだな」

近藤さんが現れた。
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