HAND

□外出許可
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「うわぁ〜!すごい!」

私は久しぶりの外出にはしゃいでいた。

今日、土方さんから外出許可を出してもらった。新選組の巡察の中ならの話だけど。
でも、それでも嬉しい。だって

「ヨカッタネ、チヅルチャン。ソトニデルコトガ、デキテ」

桜ちゃんも一緒だから。

桜ちゃんも長い間外に出ていないので、私の外出許可をきっかけに桜ちゃんも外に出る事ができた。

「うん!桜ちゃんも良かったね!…でも、刀は大丈夫?」

土方さんから借りた刀に触れていた桜ちゃん。少し心配した。

「ウン、オキタサンモアリガトウゴザイマス」

桜ちゃんは沖田さんの方に向いて言った。

「良いよ。ついでなんだから」

そう、今日の昼の巡察は一番隊、沖田さんの組が担当だった。

「でも、ちゃんとついてきてね。じゃないと、僕も困るから」

そう言って、すたすたと歩いていった。

「ワタシタチモ、イコ」

「うん!」



暫くして、何故か人の視線が気になった。

『なんだろう…好意のような視線だけど…』

周りを見てみると

「あの不思議な耳飾りをした御方、誰なんでしょう…」

「新選組の人達といましたわね」

「新選組の土方さん以外にあんなに綺麗な男子がいたのですね…。素敵…」

「…」

どうやらこの視線は桜ちゃんに対する熱い視線だったようだ。
私は桜ちゃんの方を見た。

『…こうして見ると、桜ちゃんって綺麗な顔だな…黒い髪も綺麗で…』

今考えると桜ちゃんは女性が皆羨むぐらいの美貌を持っていた。そして、優しくて、ガンバリ屋さんで…。

『桜ちゃんが女の子だって知らなかったら…私、桜ちゃんを好きになってたかも…』

そう考えていると

ポンポン

―『どうしたの?千鶴ちゃん。ボッーとして』―

桜ちゃんが話しかけてきた。

「な、なんでもないよ!」

「?」

『まさか、桜ちゃんの事を考えていたなんて…言えないよ…』

そう思いながら、父様の捜索をした。
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