HAND
□番外編:誕生日
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『さぶっ…』
冷たい北風が体を冷す。
『温暖化とはいえ、寒いものは寒い…早く帰って、準備しないとな』
僕は急いで家に帰った。
「ただいまー」
にゃあー
「スノウ、いい子で待ってたか?」
にゃあー
あの時に拾った猫、スノウが出迎えてくれた。
にゃあ?
スノウは僕が持っている紙袋に気づいた。
「駄目だよ。これは大事なんだから」
そう言って、僕は自分の部屋に向かった。
『ふぅー。…桜がいなくなってもう11ヶ月か…』
僕は部屋に飾ってある写真立てを見た。
写真立ての中には可愛らしい笑顔をした桜の顔があった。
『…もうメディアでは過去の話になってしまったな…まだ、見つかってないのに…』
僕は少しの間眠ってしまった。
「誠、…何寝ている」
「うわぁ!と、父さん、部屋に入る時はノックしてて言ってるだろ?」
突然、父さんが入ってきて驚いた。
「ノックしても出なかったおまえが悪い。…そろそろ始めるぞ」
「あ、うん」
僕は紙袋を持って部屋を出た。