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□番外編:鬼の子孫
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「ねぇねぇ、誠先生」

僕は大学に入ってから家庭教師のバイトをしていた。
そのバイト先の生徒、彩ちゃんが僕に話しかけてきた。

「どうした?分からない問題があった?」

「…休憩時間に勉強の事を聞くわけないでしょ?」

「じゃあ、なんだい?」

「最近、私達の間で流行ってる恋愛ゲームがあるの。新選組をモデルにした話なの」

「へ〜、新選組か…。僕、新選組が好きだから興味あるな…」

「でも、それファンタジー要素があるの」

「…ファンタジー?」

「うん。新選組の幹部のほとんどが“変若水”っていう水を飲んで、“羅刹”っていう吸血鬼になっちゃうの」

「変若水…羅刹…」

「…先生?」

「…」

「誠先生!!」

「!ああ、ごめん。そろそろ授業を始めるか」

「え〜!」

文句を言う彩ちゃん。しかし、僕はさっきの話で色々考えていた。

『…まさかさ…俺と桜が…鬼の一族なんて…驚くよな…』

20歳を迎えた年に母から鬼について話をされた。
鬼の一族「天川家」は日本に昔からいた。
天川家以外に
雪村家
風間家
南雲家
鈴鹿家
と日本の東西南北に存在した。
しかし、戦国時代に起きた「関ヶ原の戦い」で鬼は西日本、東日本に別れた。
西日本を風間家、南雲家。
東日本を雪村家、天川家。
鈴鹿家は中立の存在になった。
しかし、東日本…徳川に力を貸した雪村家と天川家は人間の陰謀により、滅ぼされた。



『…最初はおとぎ話かなって思ったけど、次第にそれが本当に思えてきたんだよな…』

父が母方の家に婿養子できた訳。
母と僕と桜が傷の治りが早い訳。
それは全て鬼の一族である天川家にあった。

『つまり、天川家は生き残ったっていう事になるんだよな…。そういえば、彩ちゃんが言ってた変若水や羅刹は天川家にも伝わっていたな…』

すると、彩ちゃんが

「先生、携帯が光ってるよ?」

「え?…ホントだ」

携帯を取り、中身を見た。

『…母さんからだ』

電話だったので彩ちゃんに断ってから部屋を出て、電話に出た。

「もしもし、母さん?…どうした?なんで泣いて…え…!?」

僕は驚いてしまった。

「桜が行方不明!?」
 

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