HAND

□顔合わせ
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「…何…その声…」

総司が偏見で見るような目をして少女に言った。
俺達も彼女の声に驚いてしまった。美しい外見には似合わないほどの声だった。

「ワ…タシ…クチ…ミナイト…ワカラナイ…」

少女は涙目で総司に言った。

「ミミ…キコエナイ…カラ…」

その発言に広間にいる皆が驚いた。

「…本当に聞こえないの?」

総司はまだ信じてないような感じがした。

「だったら、君の耳を見せてよ」

そう言って、総司は少女の長い髪をどかせ、耳を見ようとした。

「!…ヤ!」

少女は嫌がるように首を振った。しかし、総司に顔を固定され、動かせない状態になった。

「じっとしててよ。…何、この飾り」

ふと、手を止め、総司は少女の耳に触れ、その飾りをとった。

「ダ、ダメ…」

少女がそう言った瞬間

ピ――――――ッ!!

「!!」

耳障りな音が鳴り出した。

「何これ…!?こんなうるさいのしてたの!?」

総司がその飾りを投げようとした。

「!…ダメ…!」

少女は無理矢理、縄をといて、総司からその飾りを取り返した。

少女はその飾りを再び、耳につけた。

「…」

「…」

少女が何かを確認するような仕草をした。

「…ヨカ…ッタ…コワレテ…ナイ…」

安心したような声で言った。
そして、少女は俺の方に向いた。

「…なんだ?」

「…カミト…フデ…カシテ…クダ…サイ…カイテ…ハナシ…タイ」

少女は何かを書くような仕草をしながら言った。

「土方君、私のを使わせなさい」

山南さんが懐から簡易用の筆と紙を出し、俺に渡した。

「ありがとな、山南さん。…紙と筆だ。使え」

少女に紙と筆を渡した。

「…アリ…ガトウ」

ふわりと笑顔を見せた。
その笑顔に俺達は驚いた。
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