Candy Color
□黄昏ロマンス
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そんな景色を一通り眺め、私は鞄からカメラをとりだした。
カメラマンのお父さんにもらった、一昔前のカメラ。
首からカメラをぶらさげ、窓を開けた
「…あ」
ベランダにでて撮影しようと思ったところ、そのベランダには一人の男。
その男は、私に気づいてヒラヒラ手を振った。
「お、来たね。亜遊」
「…」
ニコッと微笑めば、世の女の子の半分は倒れてしまうだろう、という笑顔。
彼の顔は、間違いなく誰よりも整っている。
染めた、というより地毛っぽい黒に近い焦げ茶色の髪。
同じ色の優しい瞳。
薄い唇と、スッと通った鼻筋。
スラッとした、高い身長。
ネクタイもジャケットもないが、新品のように綺麗なシャツとパンツ。