たんぺん
□さよならよりも悲しい
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ソレを、見てしまった。見なければよかった。見ていないフリをしていればよかった。信じて目を背けてしまえばよかった。"私だけの貴方"で居ると思っていた。だけどそうしなかったのは紛れもない、私だった。
そして、澄んだ空気が、晴れている青い空が、鳴く鳥たちが、子供たちのはしゃぐ声が、こんなにも苛立たせるものになるとは思ってもいなかった。
(…涙も、枯れた)
女物のきつい香水の香り。脱ぎ散らかして部屋に放り投げてあるままの二人の服。ベッドで絡まる男女。これが意味するものはひとつしかなかった
『なに…これ…!』
「あ…杏…」
「良いじゃない。邪魔しないで」
驚いた修兵の目が、綺麗な女の人の目が、怖くて、思わず飛び出した。あんな人知らない
―――「杏!!!」
とぼとぼ歩いていると、後ろから声をかけられた。誰かだなんてすぐに分かった。振り向こうとする前にそのまま後ろから抱き締められる。香水。目眩と吐き気が私を襲う
「悪ィ、違うんだ、俺、」
『……修兵、私たちもう』
「…別れるって、ことか?」
『浮気、なんでしょ?』
その言葉に修兵の腕に力が入った
「俺が愛してるとはお前だけなんだ」
『修兵…』
「だから別れるなんて言うなよ」
はじめてじゃない。もう何回も、何十回も、同じことを繰り返している。本当に馬鹿みたいだ。終わりにした方が楽なのに。私が泣くこともなくなるのに。また同じことをされると分かっているのに。
「杏、愛してる」
『本当に?』
「あァ、俺にはお前だけだ、」
嗚呼 本当に馬鹿みたいだ。
『―――あたしも、愛してる』
(さよならよりも悲しい"愛してる")
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檜佐木さんの小説って、二股とか浮気とか多いけど実際彼は一途だと思う(じゃあなんで書いた)
けどブリキャラで浮気する人・っていったら修兵が思い浮かびます。他のキャラでは考えられない。