おれんじ どろっぷ
□放課後講習
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「どこがいいの?あんなヤボったい教師」
「そうそう。もっといい男がいるじゃん」
いつものように
お弁当の時間
友人達にいじられる私。
「ヤボったくないもん!」
潤ちゃんは最高にカッコいいんだもん。
ふりかけを飛び散らかせ、友人達に反論しても『ぐぇー』って言われて終わってしまう。
「優しくて笑顔がキュートでシャイで……」
その姿を想像し
乙女の想いを友人達に2時間は語れる自信アリ。
しかしながら
それは求められてないようで
「まぁ確かに優しいし、人はよさそうだけど地味だよね」
「そうそう。朝なんて寝ぐせ付けて学校に来てさぁ、服装もパッとしないし。私達若いんだからさぁ、だから優奈も明日の合コン行こうよ」
何の事ない
合コンの誘いかよ。
「私は潤ちゃん一筋なの」
マラソンでカンボジア代表に選ばれた芸人のようにニャーと叫ぶと、友人達は呆れながら
「はいはい頑張れよ。その頭でなっ!」
そんな捨てゼリフ。
私の憧れる潤ちゃんこと
鈴木 潤(すずき じゅん)先生は数学の教師。
そして
稲垣 優奈(いながき ゆうな)こと生徒の私は
数学が大の苦手な高校2年生。