連載長編「紡がれていくもの」

□chapter 007
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今日は朝から隊士さんたちの様子が慌ただしい。


殺気立っているような、微妙な緊張をはらんでいるような――


そんな彼らの気持ちを表しているかのように、今にも雨が降り出しそうな曇天の空。

高いところでゴウゴウと風が鳴っている



「物騒なのは嫌いだよ、まったく…」

「ええ、事件でもあったんでしょうか」


佐藤さんが固く絞ったお茶っ葉の出がらしを床にまき、そのあとを私が江戸箒でサッサッと掃いていく。


緑茶は出がらしでも消臭や抗菌効果があるし、思い切りバサバサ掃いてもホコリが立たないから掃除がしやすい。

エコだなぁ〜

なんて思うけれど、機密情報のまとまっている場所は幹部以外立ち入り禁止で、お掃除ロボット(ル○バ的な掃除機)が頑張っている。



天人のゴリ押しでなかば無理やり開国したというこの国は、文明開化どころか文明乱れ咲き状態でどこかチグハグしている。


「さぁてね、これ終わったら休憩にしましょ!息抜き、息抜き」

「はーい」


廊下の端まで掃き終わり、ゴミをまとめていたら、頭の上から飄々としたいつもの声が降ってきた。


「綾さん、見ーっけ」

「総悟くん」


腰の日本刀からなぜかイヤホンがのびていて、どうやら音楽を聞きながら私を探していたようだ。ホント、マイペースだなぁ。いっそ関心してしまう。


「隊長さん。綾ちゃんにご用ですか?」

「へい。綾さんの関わっちまった一件で動きがありまして。ちぃとばかし確認をお願いしたくてね。」

「確認…?」

「ほらほら、綾ちゃん。ここはいいから行っといでよ」

「あ、はい。すみません」

「そんじゃ、借りてきますぜ」

「はいよ、ちゃんと返しとくれよ」

「……へーい」


あとの事は申し訳ないけれど佐藤さんにお任せして、総悟くんのあとを追った。



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