連載長編「紡がれていくもの」
□chapter 007
1ページ/2ページ
今日は朝から隊士さんたちの様子が慌ただしい。
殺気立っているような、微妙な緊張をはらんでいるような――
そんな彼らの気持ちを表しているかのように、今にも雨が降り出しそうな曇天の空。
高いところでゴウゴウと風が鳴っている
「物騒なのは嫌いだよ、まったく…」
「ええ、事件でもあったんでしょうか」
佐藤さんが固く絞ったお茶っ葉の出がらしを床にまき、そのあとを私が江戸箒でサッサッと掃いていく。
緑茶は出がらしでも消臭や抗菌効果があるし、思い切りバサバサ掃いてもホコリが立たないから掃除がしやすい。
エコだなぁ〜
なんて思うけれど、機密情報のまとまっている場所は幹部以外立ち入り禁止で、お掃除ロボット(ル○バ的な掃除機)が頑張っている。
天人のゴリ押しでなかば無理やり開国したというこの国は、文明開化どころか文明乱れ咲き状態でどこかチグハグしている。
「さぁてね、これ終わったら休憩にしましょ!息抜き、息抜き」
「はーい」
廊下の端まで掃き終わり、ゴミをまとめていたら、頭の上から飄々としたいつもの声が降ってきた。
「綾さん、見ーっけ」
「総悟くん」
腰の日本刀からなぜかイヤホンがのびていて、どうやら音楽を聞きながら私を探していたようだ。ホント、マイペースだなぁ。いっそ関心してしまう。
「隊長さん。綾ちゃんにご用ですか?」
「へい。綾さんの関わっちまった一件で動きがありまして。ちぃとばかし確認をお願いしたくてね。」
「確認…?」
「ほらほら、綾ちゃん。ここはいいから行っといでよ」
「あ、はい。すみません」
「そんじゃ、借りてきますぜ」
「はいよ、ちゃんと返しとくれよ」
「……へーい」
あとの事は申し訳ないけれど佐藤さんにお任せして、総悟くんのあとを追った。
.