連載長編「紡がれていくもの」

□chapter 019
1ページ/5ページ



宇津木隊長と銀さんと山崎さん、そして私の4人。

妙なメンツだが、そうこう言ってる暇はない。


すぐに税関を出て、周りに注意しつつ忍足で倉庫に向かう。



倉庫の前にもテロリストが10人ほどいた。
鍵待ちなんだろう。あまり周囲を警戒している様子はない。


「友永、怪我はどうだ」


曲がり角で立ち止まった宇津木隊長が小声でつぶやく。


「血は止まりましたが、戦力にはなれそうにないです。申し訳ありません」


「仕方ないさ、気にするな。
なるべく動くなよ。俺と坂田さんでとってくる」


「ええと、ジミーさん?」

「山崎です」

「…全然違うじゃないか。
おい坂田、アホの坂田!」


宇津木隊長は銀さんを見るが、銀さんは「そうだったの!?」的な驚愕の表情をしている。


「山崎さん、友永を…頼めるかな」

「もちろん護ります。仲間ですから!」


山崎さんの即答に、宇津木さんは少し驚いた顔をしたが、すぐにフッと微笑んだ。


「ありがとう」

「じゃあ、行くとしますか」


ふたりは悠然とたちあがり歩き出す。


「綾ちゃん、寄りかかっていいよ。体力温存して」

「ん…すみません…」







宇津木隊長と銀さんは、ごく普通にスタスタ歩いて倉庫前に進んで行く。

あまりにも自然な動作で

テロリストたちの反応が遅れた。

彼らが構えた瞬間、宇津木さんと銀さんは一気に間合いを詰め襲いかかる。


「銀さん強い…」

「いやいや、君の上官も負けてないよ」

「宇津木さんは強くて当然ですよ。戦闘のプロですから。

でも銀さんは一般人なのに」

「まぁ、一般というか、今は一般みたいな」


そうなんだ。スネに傷ありなのね。

初めて会った時の、かすかな緊張感は間違いじゃなかったのか。


太刀筋や身のこなしはめちゃくちゃなのに、隙がなく動きが読みにくい。戦場で培った強さなんだろう。



そうこう言っているうちに、あっけなく武器倉庫前にいたテロリストたちは倒され、縄でグルグル巻きになった。

.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ