連載長編「紡がれていくもの」
□chapter 021
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翌朝、お医者さんに傷口をチェックしてもらい、退院許可が出た。
額はガーゼをあてて医療用テープでとめただけだけど、右手は固定のため三角巾で吊るしててなんだか大怪我したように見える。
外したいけれど、心臓より上で固定しとかないとかなり痛むからしばらくは我慢。
総悟くんが精算に行ってくれてる間に、身支度を整えていたら土方さんが来てくれた。
私を見てホッとしたように笑い、ベッド脇の椅子に腰掛けた。
「着替え持ってきたぞ」
「ありがとうございます」
指が使えないと着物はややこしいので、洋服を持ってきてもらったのだ。
土方さんが袋から出したのはVネックのニットとジーンズ。
「こんなんでいいのか? 洋服はよくわかんねぇ」
「はい、大丈夫です。すみません、お手数かけてしまって」
「気にすんな」
土方さんは立ち上がると、ベッド周りにカーテンをひいてくれた。
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