あなたの隣
□01出会い
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「この疫病神がぁぁあ!」
バシッ!
頬がヒリヒリと痛む。
いまさっき本当の母にぶたれた。
避ければよかったのだが避けたら避けたで後々めんどくさくなるのでおとなしくぶたれた。
少女の目には包帯がまかれていたが少女にとっては意味のないものだった。
気配でいま何をしようとするのかどういった行動をしているのかわかるから。
「あんたなんか…あんたなんか生まなきゃよかった…!!」
ふいにズキリと胸が痛んだ。
「あんたが《予知》するからあの人が亡くなったのよ!!」
あの人…つまりは少女の父。
父は戦にでてしまい帰って来なかった。
弓矢で心臓を射られたそうだ。
少女が予知した結果と同じになったのだ…。
「あぁあっグスッ…うぅ…!
なんであんたじゃなくてあの人が死ななきゃいけないのよ!」
父が死んでからか…母は少女の名を言おうとはしなかった。
いつも「お前」「あんた」「疫病神」そればっかりだった。
…あれ…?
私の名前って…何だったっけ…?