あなたの隣

□02義母
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あったかい…。

これは狼の温もり…?
ううん、違う…。
いい匂い…あったかい。


莉喬は目をうっすらとあけた。

右手に違和感を感じる。
温かくて、柔らかいなにか…。
私よりでかくて私の手を包みこんでいる。

だいぶ頭が冴えてきたら上半身をおこした。
よくみたら包帯がまかれているし、着替えもかわっていた。

ゆっくり右手のほうをみると手があった。
その手をたどっていくと綺麗な女性…がいた。

女性は規則正しい寝息をたて寝ていた。

この人がたすけてくれたのか…。

手を握ったのなんて…初めて…かもしれない…。
ギュッと握ると「…ん」と声が聞こえてパッと離した。

離したのがいけなかったんだろう、女性は起きてしまった。


「…あっ、起きたんだ!
ご、ごめんなさいね寝ちゃってたわね」

女性は頬を赤らめた。

なぜこの人が謝るのだろう…。
あ…お礼…言わなきゃ…。

『あ、あの…』
「…ん…?」

『あ、…りが…とう…ございます』
「どういたしまして
偉いね、しっかりお礼がいえた」
女性は莉喬の頭を撫でた。

撫でられたことは…あったっけ…?
なんだか、きょうは初めてづくしかもしれない。

でも、嫌じゃない。

むしろ…むしろ…












嬉しい。










自分にまだこんな感情があるなんて思わなかったな…とおもいながら顔を俯かせた。
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