心の中の気持ち
□10曲
1ページ/2ページ
零はどこかで嗅いだ事のある匂いに包まれている感じがして、そっと目をあける。
零は目をあけたまま目をパチクリさせた。
身体をすこしおこして周りをみるとそこには見慣れぬ部屋の構造、家具らしきものはほとんど置かれてはいなかった。
「え…っと…」
零はだんだんと焦りがでてきた。
あきらかに自分の部屋ではないことはわかったが、起きたとたん知らない部屋ということで不安になり、もう一度周りをみるが景色はかわらない。
仕事のつかれなんかで自分が運ばれても起きないなんて…私はよっぽど疲れているのだろうか…?
もしかして、知らず知らずのうちに他人の家に入って…?
寝起きということもあり、考えが頭の中でぐるぐるまわる。
「…いやいや、今はそんなことより…」
ここから出るのが得策だと思い考えるのをやめてすぐに部屋をでた。
部屋をでるとそこには見知った人達が寝息をたてながら寝ていた。
「…なんで…」
この子たちが…、
ポカーンとその寝ている者をみていたら後ろからトントンと肩を叩かれ後ろを振り向くとそこには藍がいた。
「藍…、」
「おはよう、」
藍はすこし疲れたような…(そもそも、ロボって疲れるのかな?)顔をして朝の挨拶を言ったので零もそれに応えた。
「あ、おはよう…」
「昨日、零が僕の服を掴むから少し驚いたよ」
「…服…?」
零がそう聞き返すと藍は「いま、手に持っているものみてみなよ」と言い零は視線を自分の手にもっていくと、そこには白いジャケットが握られていた。
零はびっくりした顔をしてジャケットをまじまじとみた。
そんな零をみて藍は口角をあげすこし意地悪な顔をした。
「昨日、掴んで離さなかったんだ
だから、大変だったよ」
その言葉を聞き自然と恥ずかしさなのか照れてなのかは知らないが顔がだんだんと熱くなっていく。
「さすがに焦ったよ
どう対応すればいいかわからなかったから…」
零は藍の言葉に少しびっくりした。
「藍が…」
焦った…?
何に?
対応に…?
おもわず藍を凝視してしまう。
零が驚いた顔で見ていることに気付いた藍が「ふぅ、」とため息をついた。