新テニ

□01帰ってきた王子様
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「中学生を50人も……!?」

いかにもわざとらしく…聞かせるために大きい声で言う男。


「高校日本代表候補の合宿にですか……?
ハハ何の余興です!?
ここは日本テニス界のトップ人材育成の場いわばエリート養成所ですよ監督!?
中学生じゃこの合宿3日と持ちやしませんよ」

そして一呼吸おえてからこう続けた。
「それに…この合宿には、あの
〔双子〕がいるんですよ!?」

…と…。


ザッザッザ…

これを走りながら高校生は聞いていた。

そしてその中から誰かが口を開く。

「……おい聞いたか?」
「あぁせっかくだ可愛がってやるか」

そのまま高校生は通りすぎていきその高校生達をみて、クスッと笑った。

『…可愛がる…か…
どうだろう…逆に先輩達が可愛がられると思うんだけどな…』

木のうえで綺麗な少女がポツリと呟いた。

しばらくその少女は日向ぼっこしているときケータイがなった。

ディスプレイをみるとそこには、
【黒部由起夫】

と記されていた。

なにかの緊急だろうか?

pi…
『はい、もしもしどうしました?』

「黒部です。
いきなりですみませんが、中学生の前でははじめ静ででてくれませんか」

『本当にいきなりですね…しかも静で…?

なにか理由がおわりですか?』

「えぇ、知っているとおもいますが今日、中学生が来ます

貴方の異名、どちらを使うか相談した結果…【魔王】を使おうとなったんですよ」

『…それだけですか?』
「はい」

…即答ですか…。

『ま、わかりました
静の姿で現れます』

「えぇ、お願いします」


通話をきり、ケータイをとじポケットにしまい木から飛びおりた。

…さらしってけっこうキツいんだよなぁ…。

そんなことを思いながらも自分の部屋にへと足をすすめるとそこには、あの三人がいた。

おもわず駆け寄った。

『カズさんに奏さん、十さん
おはようございます』

「あ、零ちゃん
おはよう」

はじめに返してくれたのは、【高校3年 入江 奏多】

「おう、零か…おはよう」

次に【高校3年 鬼 十次郎】

「零、また木のうえにいたのか?
木の葉がついてるぞ」

そういって、零の髪についている木の葉を払ってくれたのが【高校2年 徳川 カズヤ】

あぁ、やっぱりカズさんは優しいなぁ、と思いながらもニコリと笑って『ありがとうございます』と礼を言った。

徳川がかすかに頬を染めた。

「それよりどうしたの?
零が木のうえから降りてくるなんて…」

『それが【魔王】になってこいと言われまして』

入江はあぁ、そういうことかと納得した。

「つまり、中学生がくるから…か」

「しかし、【神】のほうでもいいと思うがなぁ」

「なめられないため…と思えば辻褄があいますが…」


徳川と鬼はうーん、といいながら考えはじめた。

その二人をみて入江はクスクスと笑って、零の方を向いた。

「ほら、あの二人はおいといて、静になっておいで」

入江はニコッと笑い、零の背中を押した。

『あ、はぁ…』

零は、三人に会釈してその場を去った。








王子様達がくるまで…あと少し…
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