心の中の気持ち
□05才能の差
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零は屋上で夜空を見上げていた。
『あいかわらず…空気がきたないから星がみえないな…』
あっちでは綺麗な星空だったな…。
そのまま夜空を見上げていると、キィー…と音がした。
音がなったほうをみるとそこには一ノ瀬トキヤがいた。
私が勝手に一番期待していて、私が勝手に失望した男。
ト「…あなたは……」
トキヤも自分の存在に気付いたようだ。
しばらく二人には沈黙が続いた。
最初に沈黙を破ったのは零だった。
『……私、ここにいないほうがいいかしら?』
ト「…いえ、…かまいません」
『そう』
零はその言葉を聞いて再び夜空を見上げた。
ト「…なにか…みえるんですか?」
意外だった。
トキヤが自分から話掛けるなんて思いもしなかったからだ。
零は少し黙ったあとこたえた。
『…なぁんにも……つまらない空…光輝くものがなければただの夜空…』
ただの夜空も好きだがやはり星空がいい。
ト「…そうですか…」
トキヤは零の隣に来た。
またまた意外…。
なんで隣にきたの?
ト「…私の…いえ…HAYATOの時の歌はあなたにとって《何色》でした?」
『なんだ…一ノ瀬トキヤ君…君は私がそういうのを別のなにかみえることを知っているんだね…』
零にとって《音》が《色》にみえる。
《数字》は《香り》
普通の人には感じ取れないものを彼女は感じとれた。
*詳しくは、《噂屋》っていうマンガをみてね
『HAYATOの色は真っ黒なんにも染まらない
聞いていてまわりが真っ黒。
気持ちが悪かったな…』
ト「…でしょうね……心がなかったから…。
ではいまは…?」
その質問に零は頬がゆるんだ。
『君の色は歌によってクルクルかわる。
でも不快なものじゃない
聞いていてとても落ち着くの』
フフと笑いトキヤのほうをむいた。
ト「…っ!
そう…ですか…」
トキヤは夜でよかったなとそう思った。
赤く染まった頬をみられることはないから…。