狐の落描き

□参
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『飯だ』

「うん、飯だよ」

『……飯だ』

「そうだよ飯だよー」



どうしよう、俺の普段の食生活と全然違う品々が盆の上にきっちり盛り付けられている。

朝飯なんていつも白御飯一杯に塩をかけるだけで終わるのに。


隣では我先にと飯をむさぼり食う真田さんが見受けられた。
いや、別に汚くは無いんだけどスピードが半端じゃない。

既に御飯だけでもおかわり四回している。



『……』



確かに美味しい。

特に山菜とかはみずみずしくてさっぱりと味付けされていて美味しいと思う。

真田さんの隣で黙々とつついていると、佐助が真田さんの御飯をよそいながら言った。



「紳士の旦那、おかわりいる?」



ちょうど御飯が食べ終わったのを見計らったのだろう。



『……いや、俺はいいよ。元々そんなに食わないし』

「佐助ぇ!!足りぬぞ!!」

「あーはいはい。旦那にもちょっとは紳士の旦那を見習って欲しいねー」

『本当に…よく食うな』



呆れた風に言う佐助が昨日、今日で凄く不憫に見える。

俺は最初に盛られていた分は食べ終えたので、早々に部屋を去ろうと襖に手をかけた。



「あ、紳士の旦那ちょっと待って」

『んー?』

「親方様が、朝餉が終わったら来るようにってさ」



親方様…確か名前は武田 信玄だったかな。何の用だろう。

尋問とかされんのかなー…。



『分かった、何処』

「出て右に行って突き当たりだよ」

『了解』



やっと目を覚ました体を少し屈伸して慣らす。
膝がパキパキと音を立てた。



そう言えばずっと思ってたんだけど此処、












幽霊多いなぁ……。










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