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□猫と碧の物語
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†猫と鈴の物語†
碧が連れてきた名も無き少年が来て、数週間が経ったある日の事。
「表通りは歩かない方が身の為よ。」
傷を負った少年に鈴が手当てをしながら言った。
表通りには、ここで暮らしている碧達を良く思っていない人が多い。
碧は上手く躱すし、桂一は神父なのでひどい事はされないが、鈴は物を投げられる等の仕打ちを受けていたのだ。
きっと、少年の傷も鈴と同じように表通りの連中にやられたのだろう。
「表通りの連中、私たちを悪魔って言うのよ。神様に見捨てられてるって…。」
あいつらは、碧ちゃんの事を『悪魔の子』だって言うの。
桂くんの事は『堕天使』。
私の事は『魔女の子』だって…。
それじゃあ、自分達は何なのよ?
どうして、そんな事が言えるの?
桂くんは教会に無条件で私たちを住まわせてくれてるし、碧ちゃんだって何だかんだ言っても私たちを守ってくれてる。
それなのに…。
どうして私たちみたいな孤児を受け入れてくれた碧ちゃんや桂くんがひどい事されなきゃいけないの?