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□猫と碧と桂の物語
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†碧と少年と桂の物語†
とある晴れた日、碧は小さな子供を連れて戻ってきた。
「碧?その子は?」
一体どこから連れてきたのやら?
「拾った。」
「拾ったって…猫や犬じゃあるまいし…。」
でも、鈴の時も同じだったか…。
碧が、こんな事をしたのは一度や二度ではないのだ。
「来るか?って聞いたら、ついてきたから拾ってきた。」
まあ、無理矢理連れてきたのではないのでいいか…。
「でも、勝手に連れてきていいものじゃないんですよ。親御さんも心配するんですから。」
これでは、誘拐されたと言われても仕方がない。
しかし、この言葉に反応したのは、碧の影に隠れた少年だった。
「いないよ…。」
少し寂しげな顔をして、少年は首を振った。
「こいつ、親居ないんだよ。だから連れてきた。」
碧はいつも、身寄りの無い子供を連れてきて、ここで皆と生活している。
「それじゃあ、この子もここで暮らすんですね。ところで名前は何というんです?」
「わからない。僕が聞いても知らないって言ってたし。」
名前の無い少年。
ずっと、誰からも存在を認められなかったのだろうか?