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□星空の下で
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「花月!?何をしているんだ?」

振り返ると十兵衛が居た。
十兵衛が捜しにきたという事は何かあったのだろうか?

「ちょっと考え事。それより、何かあった?」
「いや、少し冷えてきたのでな。」

最近暖かくなってきたとはいえ、朝晩はまだ寒い。
花月は上着も羽織らず出ていったので、十兵衛は花月の上着を片手に此処までやってきたのだった。

「ああ、もう少ししたら戻ろうと思ってたんだ。」

そう言いながらも、花月は上着に袖を通すと、また横になり空を眺める。

「花月?何か…。」

いったい花月は何をやっているのだろう?と十兵衛は目線を上げた。
そこには、幼い頃に見たような星空が広がっていた。

「こうしてると、よく見えるんだ。」

花月が言うように十兵衛も横になると、たくさんの星がその目に映る。

「ああ、よく見えるな。」

無限城に来てからというもの、こんなに穏やかな気持ちで星空を眺めたことがあっただろうか?

「ねぇ、十兵衛。こうしてると宗家に居た時のことを思い出さない?」

幼き日、花月と十兵衛は親の目を盗んでは近くの丘まで星を眺めに行った事があったのだ。

「ああ、あの頃も星が綺麗だったな。」

そうだね。と、2人が笑いあっていると下から階段を上がる音が聞こえてきた。


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