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□碧と鈴の物語
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しばらくすると、少し落ち着いたようで、何があったのか少女は話し始めた。
母も父も、殺されたと言うのだ。

「私だけ残されちゃったな…。こんなに苦しいのにね。いっそ私も死んでたらよかったのに。」

死んでいたら、こんな苦しみを味わう事も無かった。
いっそ、私が居なかったら父も母も死なずに済んだのかもしれない。

「それは違うよ。君には君と出会うべき人が居るから生きているんだ。それに、君の親は君を守って亡くなったんだろう?君に生きてほしいから守ったんだろう?だったら君は生きなきゃいけない。」

残された者の悲しみは、表しきれない。
でも、残していった者の苦しみも、言葉には表せない。

「でも、きっと私は無理だよ。生きていく場所が無いもの。」

そう、彼女には帰る場所が無い。

「だったら一緒においでよ!僕が必要としてあげるから。だから生きよう。」

自分を必要としてくれる暖かい言葉。
少しだけ生きていたいと思えるようになれた。

「ありがとう。君に逢えて良かったよ。」

この時になって、ようやく彼女は微笑んだ。

「君って言うの止めない?僕の名前は碧だよ。」

君は?と聞かれて少女も答える。

「私は鈴。」
「いい名前だね。これからよろしくね。鈴。」

これが碧と鈴の出会いだった。
きっと、鈴にとって碧は会うべき人だったのだろう。

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